クラレンス・ペン(Clarence Penn)
ネオ・ヴィンテージ・シリーズ NV60-M5
クラレンス・ペン(Clarence Penn)が、ひょっこりカノウプスの松原の店舗(東京都世田谷区の旧店舗)に顔を出したのは、カノウプス・オリジナル・ドラムを開発した1997年から間もない頃でした。前日に、同様にカノウプスを訪れたビル・スチュワート(Bill Stewart)の紹介で、コイル・シンバルを買いに来たのですが、当時開発したばかりの(R.F.M.シリーズ)Club Kitを叩いて、とても気に入ってくれたのです。そこで「エンドースしてくれないか?」という話をしましたが、「ドラマーにとって最も大事なことは、音はもちろんだけど、世界中どこに行っても、そのメーカーのドラムを使えなければダメなんだ」という理由で断られたのです。 単純な私は、「そうか! 世界中でカノウプス・ドラムが使えれば、カノウプス・ドラムをエンドースしてくれるのか! それなら、そうすればいい!」と考え、アメリカや中国などにカノウプス・ドラムを置いて回ったのです。その成果をクラレンスは見ていたのでしょうか? 昨年、彼からメールが入り、「カノウプス・ドラムを使いたい」と言ってきたのです。最初の出会いから約20年の歳月を経て、カノウプスに戻ってきてくれたのです。“負け続けても諦めず挑戦し続ければ、いつかは勝てる”というのが私の信念ですが、“やった!”とガッツポーズをしたのは言うまでもありません。
ドラマーがカノウプスのエンドーサーになるとき、“そのドラマーが本当に好きで使ってくれるかどうか”が私たちの次の勝負です。そこでクラレンスが自宅で使っている愛用のドラム・セットは何か?を聞いてみたところ、アメリカの往年のヴィンテージのメーカーを使っていることを知ったのです。私は、彼に「その音をカノウプスのテイストを入れて再現します」と約束し、完成したのが今回のネオ・ヴィンテージNV60-M5スネア・ドラムです。
私にとってクラレンスは、20年の歳月をかけて獲得したエンドーサーであり、語弊があるかもしれませんが、いわば、“江戸の仇を長崎でとった気分”なんです。
近年、展示会のときにカノウプス・ブースを訪れ、「俺は他メーカーのドラム使っているけど、カノウプスは世界一だよ」と、わざわざ私に言いに来てくれる他メーカーのエンドーサー・ドラマーが増えてきています。本当にありがたいことです。今後ともカノウプス・ドラムが本当に好きで、カノウプス・ドラムを心から愛して使ってくれるドラマーのために、最高の音作りができる、最高のドラム・メーカーでありたいと思っています。
カノウプス代表 碓田信一