佐野康夫さんの新たなメイン、NV60-M5スネア・ドラム!

佐野康夫さんの新たなメイン、NV60-M5スネア・ドラム!

魅力と秘密が満載のDVD『佐野康夫 ドラムレコーディングの流儀〜プロの現場のシミュレーションから学ぶ匠の技と心得〜』を発表したばかりの佐野康夫さん。AIKOや安藤裕子、阿部真央、菅野よう子、かつてはMONDO GROSSOやORIGINAL LOVE、古内東子、AIRなどなど、日本を代表するセッション・ドラマーとして、数々の名演を聴かせてくれていますね。そんな佐野さんが、ネオ・ヴィンテージ(Neo-Vintage)シリーズの最新スネア・ドラム、NV60-M5(R60)を新たにメイン・スネアとしてチョイスしてくれました! 早速いろいろと聞いてみましょう!

佐野康夫 NV60-M5スネアドラム

 

自分の存在意義に響いたNV60-M5
M5は試作の段階からちょっと叩いたりして、“おや?”とは思ってましたね、「これは何だろう?」って。「この音色の感じはどこかで聴いたことがあるな」って、単刀直入にそう思いました。まさにロジャース(ROGERS)のパワートーン(PowerTone)でしたね。例えば、実際の(60年代初期の)パワートーンのフープって薄めだけど、高さがあったりしたじゃないですか(註:俗に言うトールボーイ・フープ)。だからきっとこれ(M5)も専用の背の高いプレス・フープにしてるのかなって思ったくらい似てるなって。でも普通の(1.6mmの)フープがついてるんですよね。「嘘だろ〜」って何回も言いましたけど(笑)、それぐらいパワートーンだなって思いました。

僕もパワートーンは大好きで、実際にウッド(シェル)もブラス(シェル)も持っていて、もちろんウッドとブラスの違いはあるけど、基本的な鳴り方はすごく似ているんです。だから自分の中で、パワートーンのサウンドの存在意義はしっかりある。M5を聴いたときに、自分の存在意義のところにものすごく響いてきたんですね。

M5を実際に現場で使うようになったのは、DVD(『佐野康夫 ドラムレコーディングの流儀〜プロの現場のシミュレーションから学ぶ匠の技と心得〜』)の収録からですから、去年の12月くらいからですね。そこから実際のレコーディングの現場でもよく使ってます。

佐野康夫 ドラムレコーディングの流儀『佐野康夫 ドラムレコーディングの流儀〜プロの現場のシミュレーションから学ぶ匠の技と心得〜』
▲NV60-M5のサウンドもチェックできます! 全ドラマー必見です!

深さ5“をチョイス
僕は(14”×)5”を使ってます。深いの(6.5”)は試作では使ってみて、こっちもすごくいいスネアだと思ったんですけど、実際に僕が持っているロジャースのパワートーンは5”なので、比べたいなってことで、何となく5”の方に触手が伸びるというか、5”の方が、イメージが湧きやすかったんですね。
笑っちゃうくらいパワートーン
M5は当然新しい楽器なので、「こっちが新しいのかな?」っていう感覚はありますけど、基本的な音色も、もう、まったくロジャース(パワートーン)ですね。こういう表現が正しいのかはわかりませんが、カノウプスは、レプリカものにいろいろチャレンジしてるじゃないですか(=ネオ・ヴィンテージ・シリーズ)。その中で一番、レプリカのレベルが高いと思います。もうM5はロジャースですよ(笑)。現場で使えば使うほど、録音した音を聴いてもロジャースなんです。ちょっと笑っちゃうくらいロジャースですよ。
あえていろんな現場にぶつけていきたい
ロジャース(パワートーン)を使うときは、いろいろな理由はあるんですけど、頻度としては、落ち着いたサウンド、ピッチ感にしろ、中低域が出るふくよかな感じのサウンドにしたいときですね。ただすごく個性が強いサウンドなので、あくまでも現場的に“いつもドンピシャにハマる”っていうのでもないんです。いい意味で“いなたい”サウンドだと思っているので、今の音楽に万能に適用するかっていうとちょっと違うかもしれない。逆に僕はそれでいいと思っているんですけど、そういうところで、これは違うかな、ちょっとボツかなって思うときのタイミングがM5を使っても同じなんです。

(ロジャース=M5は)僕にとってはオールマイティじゃないけど、好きな人にとってはオールマイティとも捉えられるんじゃないですかね。そう言うと僕は嫌いみたいに思われるかもしれないですけど(笑)、むしろ好きだから、あえていろんな現場にぶつけていきたいなと思っているんです。

中低域に威力を発揮するとは言うものの、ハイ・ピッチ気味にしても、いい意味での“いなたさ”が出て、僕はそういう感じでも使っていて、DVDのときもそれで使いましたしね。

ネオヴィンテージ NV60-M5 スネアドラム▲NV60-M5/Blue Onyx

ロジャースのすごさとM5
僕がドラムに興味を持ち出した小学校6年生の頃から、ロジャースってメーカーのことは知ってましたから、カッコいいな!って思ってました。テレビなんかでもよく映っていて、Rの文字とか、脚が太いのとか、すごく印象に残ってますね(註:1970年代の通称ビッグR期のロジャースだと思われます)。ときどきカメラがドラムの横から撮ったりするとプラスティックのビーターが見えたりして。“カッコいい! 何だこれ! 今風!”とかって思ってました。僕にとってのロジャースは、ラディックやグレッチと同じくらい価値のあるメーカーなんです。特にロジャースは、同じ年代の他の楽器と比べて、精度がものすごく高いと思います。ガタつきとかも全然ないし、綺麗な鳴りのまま、いなたくなっている。そこがすごいなと思います。で、M5とロジャース(パワートーン)、ホントにどっち使っているんだろうってくらい同じです(笑)。
メイン・スネアの1つとして
M5は今後もいろいろ使っていくつもりですけど、カノウプスの5”のスネアで、もう1台気に入って使っているのもあるので、それと併用って感じですね。それは、シェル自体は自分のシグネチャー(製造終了)と同じスペック(メイプル+ポプラ7プライ)で、5”のサイズで、ラグがYAIBAやM5と同じ8テンションで、普通(1.6mm)のスティール・フープがついてます。だから見た目はM5と一緒なんです(笑)。

佐野康夫シグネチャースネア SIG-1465YS1▲2012年に期間限定で発売された佐野康夫さんのシグネチャー・スネア。現在は製造終了。

スネア・ドラムを軸に
自分の好みが変わってくるっていうのと同時に、最初にサウンド的なところで顕著に出てくるのって、やっぱりスネアじゃないですか。だからセットを軸で考えるよりも、スネアを軸で考えた方が、サウンドのイメージが湧きやすいんですよね。そうするとアイディアも浮かびやすいんです。単純な話、僕のスネアに関して、楽器に対しての好みの変遷を言うと、やっぱりまずメイプルが主流。で、メイプルに飽きてくるんですよね。もうちょっと、クリーン・トーンじゃなく、アクみたいなものに質感を求めるようになってきて、っていう流れでメイプルから離れていく。でもやっぱりメイプルの威力はあるので、多少のメイプル感は必要かなっていうところのバランス探し(=ハイブリッド)。あとは手に入りやすい素材で、いかに効率良く理想的なサウンドが作れるかっていう。高い希少価値のある素材もいいですけど、そうじゃなくて!っていうのはありますね。

いかがでしたか? NV60-M5の魅力と共に、佐野さんのスネア・ドラム観も非常に参考になるのではないでしょうか? パワー&トーンがウリのNV60-M5スネア・ドラム、ぜひお試しください!