カノウプス、スネア・ドラム・ラインナップの中で、人気機種の1つである、MO(エム・オー/Oil Finished Maple)。永遠の定番The Maple(カバリング、またはニトロセルロース・ラッカー・フィニッシュ)から派生したモデルながら、単にオイル・フィニッシュに変更しただけでなく、シェル・コンストラクションから見直しを行っているのです。そして、低価格を実現しながらもカノウプスのサウンド・クオリティを保っているところが特長なんです。今回、ラウンド・エッジ・フープ+限定カラーのMO Round Edge Snare Drum が50台限定で発売になりました。そこで、開発担当者に、MO誕生の話から、MOラウンド・エッジの特徴的なサウンドについて語ってもらいました。
── MO誕生の背景 ──
当時のラインナップは、ザ・メイプル(The Maple)、スティール(The Steel),
ブラス(The Brass)、ゼルコバ(Zelkova)、あとメル・テイラー・モデル(Mel Taylor Signature)で、すべてだったんです。そこで価格的に若いドラマーに向けて、エントリー・モデルとして使っていただこうということでMOが生まれたんです。入門機としての低価格設定を前提としながらも、さらにロック・ユーザーに特化したものとして開発したんです。
ブラス(The Brass)、ゼルコバ(Zelkova)、あとメル・テイラー・モデル(Mel Taylor Signature)で、すべてだったんです。そこで価格的に若いドラマーに向けて、エントリー・モデルとして使っていただこうということでMOが生まれたんです。入門機としての低価格設定を前提としながらも、さらにロック・ユーザーに特化したものとして開発したんです。
そこでカバリングやラッカー・フィニッシュではなく、当時やっていなかったオイル・フィニッシュを始めたんです。メイプル材の表面を加工して、当初はナチュラルだけでしたので、製作時間を短くしてコストを下げたんです。
── The Mapleとは異なるシェル材 ──
ザ・メイプルとは、同じメイプルでもシェルの材自体が違うんです。ロック・ドラマー向け、ロック・ミュージック向けにしようということで、センシティヴィティよりもパワーを重視したんです。でもオイル・フィニッシュにすると、カバリングはもちろん、ラッカーに比べても質量は落ちるんですね。ですので、当時ザ・メイプルは、8プライのニューイングランド・メイプル(註:現在はMOとは産地の違うアメリカン・メイプルに変更)で作っていたんですが、MOは10プライのアメリカン・メイプルを採用しました。
── カノウプス=8テンションのこだわり ──
ロック向けと言っても、MOは8テンションです。ここはカノウプスのこだわりですね。ロック・ドラマー向けでも、ふくよかな音を目指したんです。もちろん開発段階では10テンションも試しましたが、硬くなってしまって、ふくよかな感じは出なかったですね。8テンションにこだわって、シェルを10プライで厚くして質量を増やして、オイル・フィニッシュで木の響きを残したということです。
── 低価格だけじゃないヒットの理由 ──
発売当時の人気は凄かったです。ちょっとカノウプスを気になり出した方がいてくださって、手の届きやすい価格だったということでしょうね。また同じ時期にヴィンテージ・スネア・ワイヤー(Vintage Snare Wire)を開発したんですが、これを標準装備にしたら、思いのほか、すごくリッチな音になったんです(笑)。これもヒットの理由だと思います。ちなみにカノウプスのスネア以外でもヴィンテージ・スネア・ワイヤーを装着すれば、サウンドが一気にグレードアップしますよ。
── ラウンド・エッジ・フープ(Round Edge Hoop) ──
MOラウンド・エッジは、MOのまた違った魅力を引き出す刺激的な限定仕様ですね。そもそもMOは、最初はダイキャスト・フープ仕様でしたが、昨年パワー・フープ(2.3mm/トリプル・フランジ)仕様に変更しているんです。これも市場のニーズからで、ダイキャスト・フープは指向性も強く、塊感も強いので、もっとオープンなサウンドが良いっていう声も多くなってきましたので、MOはこれに変更したんです。そして、今回のラウンド・エッジ・フープでは、レギュラー・モデルとは“色”を変えたいというのがありましたので、指向性がギュッと締まって、ちょっといい意味での“ツマり”が出ます。とても面白い音色になっていますよ! サウンドが、すごくまとまります。
── 特別なオイル・フィニッシュ ──
フィニッシュはもちろんオイルですが、一手間ありまして、いわゆる“フェイク・ウッド風”のカラーリングです。以前、(別のスネアで)発表したことがあって、それが好評だったんですね。その流れを汲んだ“ヘイズ(煙霧)系”で、パープル・へイズ(Purple Haze)とインディゴ・へイズ(Indigo Haze)の2種類の限定となっています。
── どんなドラマー向き? ──
MO自体はロック・ドラマー向けに作ったんですけど、実はジャズ・ドラマーにもかなり好評なんです。センシティヴィティも良いですし、いわゆる“余力”もありますし、オールマイティに使えてしまうんですね。今回のラウンド・エッジは、それこそ“ロック・ドラマーの入門向け”として最適だと思います。塊感も出て、グッと締まってますので、より使いやすいと思います。