ブライアン・ブレイドが奏でるNV60-M1-EXとNV70-M4

ブライアン・ブレイド(Brian Baled) ジョン・パティトゥッチ“エレクトリック・ギター・カルテット(John Patitucci Electric Guitar Quartet)

ブライアン・ブレイド(Brian Blade)が、ジョン・パティトゥッチ“エレクトリック・ギター・カルテット”(John Patitucci Electric Guitar Quartet)のドラマーとして来日、ブルーノート東京が5月18日、19日、ブルックリンパーラー大阪が20日、コットンクラブ(東京)が22日、23日と、5日間に渡っての公演が行われました。
メンバーは、ジョン・パティトゥッチ(eb)、ブライアン・ブレイド(d)、アダム・ロジャース(Adam Rogers/eg)、スティーヴ・カーディナス(Steve Cardenas/eg)という、ジョンの2015年発表のアルバム『ブルックリン』の参加メンバーそのままです。
ジョンは3度のグラミー賞に輝く名ベーシストでありますが、ウェイン・ショーター・カルテット(Wayne Shorter Quartet)で、ブライアンと共に来日した際、私たちは数回お会いしています。

昨年もこのメンバーでの来日の際にコットンクラブでお会いしておりますので、リハーサル前にドラムのセッティングにうかがったときにはもう、「Hey brother!」と気さくに声をかけていただき、通常は写真撮影のOKなど出ないところ、何とメンバー全員がOKをくれまして、今回、ここに写真が掲載できた次第です。

ブライアン・ブレイド(Brian Baled) ジョン・パティトゥッチ“エレクトリック・ギター・カルテット(John Patitucci Electric Guitar Quartet)
ブライアン・ブレイド(Brian Baled) ジョン・パティトゥッチ“エレクトリック・ギター・カルテット(John Patitucci Electric Guitar Quartet)

私たちが、最も嬉しかったこと……それはメンバー全員が、これまでカノウプス・ドラムのエンドーサーと共演した経験があり、すでにカノウプス・ドラムをよく知っていてくれたという事実です。
アダム・ロジャースはクラレンス・ペン(Clarence Penn)と、スティーヴ・カーディナスは、すでにお亡くなりになったポール・モチアン(Paul Motian)と共演しています。
思えば1985年に、ゼルコバ・スネア・ドラムをキャリアに乗せて、ロサンゼルスやニューヨークはマンハッタンをはじめ、たくさんの楽器店を訪問していた頃は、誰も知らなかったカノウプス・ドラムが、今ではバンド・メンバー全員が“カノウプス・ドラマー”と共に音楽を創ってくれているのです。その話をメンバーにしたのですが、みんなとても喜んでくれたのです。感慨無量です。

ブライアン・ブレイド(Brian Baled) ジョン・パティトゥッチ“エレクトリック・ギター・カルテット(John Patitucci Electric Guitar Quartet)

18日のライヴ前日に突然、ブライアンから「NV60-M1-EXのバス・ドラムをいつもの18”ではなく20”で、両面コーテッドで使いたい」というリクエストがありました。毎度、前日に思いついたことをリクエストしてくれるのは、きっと頭の中で演奏をシミュレーションして、最高の組み合わせを探しているんだと理解しています。ジョンも「18”もいいけど、20”はもっといいよ!」と言ってくれました。
ジョンのアルバム『ブルックリン』は、彼が住んでいた当時、あらゆる音楽が流れていたブルックリンをテーマにしたアルバムで、ファンクやブルースの曲もあります。そこで、いろんな音楽に対応できる20”を気に入ってくれたのだと思います。
さらに『ブルックリン』で表現されている、ジョンのオリジナルから、ウム・サンガレ(マリ共和国の女性シンガー)の曲での西アフリカ的アプローチ、ウィルソン・ピケットへのオマージュから、奇才セロニアス・モンクの世界観まで、ブライアンはまるで“ジャズ・ソウル・ドラマー”のごとく多彩な表現法で魅了してくれました。

ブライアンの使用機材は、ブルーノート東京とコットンクラブでは、開発時から使っているカノウプス・ネオ・ヴィンテージNV60-M1-EXの20×14”BD、12”×8”TT、14”×14”FTと、70年代のS社“Two to one”の再現をしたNV70-M4(14”×6.5”)スネア・ドラムという組み合わせ。ブルックリンパーラー大阪では、NV60-M1-EXの18×14”BD、12”×8”TT、14”×14”FTにザ・メイプル(The Maple)のM-1465(14”×6.5”)という定番の組み合わせとなりました。

ブライアン・ブレイド(Brian Baled) ジョン・パティトゥッチ“エレクトリック・ギター・カルテット(John Patitucci Electric Guitar Quartet)

今回、ブライアンにNV60-M1-EXについて、再び評価してもらいました。

“M1-EX”は、ブライアンのために1960年代のG社の音を再現したモデルですが、私たち開発陣は、G社のシェル・コンストラクションを再現したシェルに、カノウプスの最先端のエッジ・シェイプを融合させたいと考え、M1-EXを完成させました。ブライアンが来日したタイミングで、通常のM1とM1-EXを同時に見せたところ、まるで子供のように2台のセットを行き来して音をチェックしていたのを思い出します。
そしてブライアンは、M1-EXを選びました。その理由は、「伝統のG社の音の再現よりも、そこにカノウプスの先進のテクノロジーを加えた音が欲しいんだ」ということ。

あれから10年、今もNV60-M1-EXを使う彼は今回、
「嫌な倍音がなく、音飛びがいい」と言ってくれました。
1985年からヴィンテージ・ドラムをコレクションしてきた私たちは、ドラマーの近年のヴィンテージ・ドラムに対する評価が、ブーム当初より変わってきたと感じています。経年変化による“枯れたサウンド”のメリットはあるものの、一方でシェルの変形や、剥がれによるチューニングの難しさ、さらに大音量化により、音飛びが要求される現場では使いづらくなってきている事実もあります。
音楽によって、いろんなドラムを使い分けていくという流れは、ドラム業界、音楽業界全体での潮流になってきているのではないかと感じています。

ブライアン・ブレイド(Brian Baled) ジョン・パティトゥッチ“エレクトリック・ギター・カルテット(John Patitucci Electric Guitar Quartet)