CONCEPTCANOPUSのドラム開発コンセプト

ドラムの音を決定付ける要素としては、「シェル構成」「材質」「エッジ形状」が考えられます。国内外のドラムメーカー各社は、この三要素を研究し続けていますが、カノウプスはもう一歩踏み込んだコンセプトの下に、ドラムが持つ最高のポテンシャルを引き出すべく研究開発を進めています。

レコーディングされた音を生音で再現

どのドラマーも、初めて本物のドラムを叩いた時に、その音がレコーディングされたサウンドからあまりにもかけ離れていることに衝撃をおぼえた記憶があるでしょう。我々のドラム製作における理想は、レコーディングされたサウンドを生音で実現することにあります。
レコーディングされたドラムの音は、実に様々な要素で決定付けられています。ドラム本体に施されるミュートをはじめとして、収音に使われるマイクロフォンの特性、そして何よりもイコライザー等による倍音成分の補強またはカット、またリバーブやリミッター等を駆使してサウンドが作られているのです。
カノウプスでは、まずミュートの役割をエッジシェイプ(形状)に持たせました。一般的には倍音を整理して全体のサウンドを聴きやすくすることを主な目的としてミュートが施されるわけですが、これによってドラムヘッドの自然な振動は少なからず失われてしまいます。そこで、エッジシェイプによる倍音コントロールの研究を重ねた結果、ヘッドの自然な振動を損なうことなくクリーンでクリアな音を実現しつつ、耳障りな倍音をカットすることに成功しました。特にバスドラムに関しては、エッジ加工により不要な高倍音をカットし、ノーミュート&ノーホールでもタイトでファットなサウンドを実現しています。
さらに、シェルのコンストラクション(構造)を見直すことにより、そのシェルが潜在的に持っているポテンシャルを引き出してやれば、低域や高域を補うためのイコライジングは必要なくなります。その結果、ドラマーのみならずレコーディングエンジニアやPAエンジニアの皆様からも当社のドラムサウンドは絶賛されています。

ドラムのサイズごとにシェルの構造を変える

R.F.M.カノウプス初のドラムセットであるR.F.M.シリーズの開発時には、理想のシェルコンストラクションとエッジシェイプを確定するために、10"のタムタムを使って数年の歳月を費やしました。製作したテスト用シェルは25種類を超えましたが、その結果、10"のタムタムで確定した理想の組み合わせは、他のサイズにそのまま当てはまらないこともわかりました。したがって、カノウプスのR.F.M.シリーズは口径ごとにシェルのプライ数やレインフォースメントの幅とプライ数を変えるという独自のセオリーに基づいて作られています。また、そのポテンシャルを最大限に引き出すために、カノウプスが持つ究極のエッジ加工技術も駆使しています。
さらに、シェルの深さをコントロールするすることも重要な要素として捉えています。その結果、カノウプスでは、他メーカーが一般的に採用している「レギュラー胴」「深胴」といった概念を用いず、各サイズに対して基本的に1種類の深さしか提示していません(一部口径および特注は除く)。その深さも、口径によってはシリーズ別に異なったものになっています。入念な研究によって決定された当社の推奨サイズは、ほとんどのジャンルのドラマーの要望を満たすと確信しています。

フィニッシュやカラーによる音の違いにも着目

冒頭でドラムの音を決定付ける三要素を掲げましたが、実はこれら以外にもドラムのフィニッシュやカラーが音に影響を与えるという事実を、カノウプスはこれまでの経験から確認しています。詳しくは「フィニッシュとドラムサウンドの関係について」をご覧ください。


以上のことを踏まえた上で、我々は、量産のためにサウンドを犠牲にしたり、品質が低下することのないように細心の注意を払って製作を行っています。製品に関してお気づきの点がございましたら、弊社までご連絡ください。


マテリアルへのこだわり

我々が25年前に作り上げたダイキャストフープは、その後型を作り直したり、他のサプライヤーの音をテストしてきた結果、我々にとって偶然に出来上がった理想の倍音成分を発するフープであることがわかりました。
このダイキャストフープ1本をとっても、製作を開始してから25年の間に様々な製作上の問題を抱えてきました。メッキ工場を変えたり、仕上げを奇麗にするためメッキの厚みを変えただけでも同じ音が出なくなってしまったり、新しく同じ型を作り直しダイキャストを再生しても同じ音にはならないという大きな問題です。我々はこの問題を解決するために、型を新たに作り直してから我々の理想の音にするまでに約2年近くの試行錯誤を繰り返してきました。
金属の配合のわずかな違い、形状の変化、温度、メッキの厚さ等、どれ一つとってもないがしろにできない、音に大きく関わる大きな問題です。写真のように見た目では全く区別のつかない同じダイキャストでも、全く違う倍音を発生するのです。
『小さな要素が音に大きく影響する』……そこにこだわり続けることこそが、カノウプスが楽器として理想の音を実現し続けることができる所以であると確信しています。

理想の音とは何か?

物作りにおける楽器と工業製品との最も大きな違いは何でしょうか? 工業製品の理想形は『美しく、丈夫であること』であり、楽器はいくら『美しく、丈夫』に仕上がっていても、音が悪ければ楽器として何の意味もなしません。そういった観点から、一流の工業製品を製作する場合は、材料を厳選し機能性を重視した上でいかに美しく仕上げるかに焦点を絞って製作をしていると考えられます。
しかし、近年名器としての評価の高いビンテージドラムは、全く別のアプローチから製作されていたと考える説があります。かつてロックドラマーがこよなく愛したマホガニーシェルの採用の理由は、当時、単に材の入手が容易で、しかも表面が粗であるため糊を吸収しやすく、カバーリングを巻くのに適していたからだという説です。
また、ビンテージとしてドラマーが愛するドラムのシェルには、加工がしやすく製造コストを抑えることができるポプラやガムのように表面材には不向きな材と、メイプルやマホガニーなどの材を組み合わせて採用してきましたが、結果としてこれらのアプローチが歴史的な名器を作り出してきました。
さらに、ビンテージドラムはその仕上げの精度からすると現代に作られているドラムに比べ明らかに劣っていることも事実です。真円でないシェルや、経年変化によって密度が明らかに粗になったシェルは、ドラムヘッドとの接点も滑らかではありません。従って、現代のドラムに比べ確かにチューニングレンジは狭く、サスティーンも劣っているものが多く存在します。しかしながら、正確に作られた現代のドラムより明らかに複雑かつ深みのある音がすることも事実です。
我々は、今まで理想と思う様々な音を具現化してきましたが、果たしてチューニングがしやすくクリアーで美しい音を発するドラムだけが理想のドラムなのだろうか?という疑問が新たに生まれてきています。この考え方は、これから当社が開発/発表していく製品に様々な形で反映していくことでしょう。

 

ドラムのさらなる可能性を求め、進化させる開発コンセプト

ドラマーにとって理想のドラムの音とはなんでしょうか? ドラム開発において私達は前出の「レコーディングされた音」、言い換えればイコライジングされた音の具現化というテーマのもとに、各ドラムサイズごとのシェルコンストラクションからもサウンドコントロールを考えた「R.F.M.(レインフォースメントメイプル)シリーズ」の開発をいたしました。
ベアリングエッジ形状を追求する上で、理論上1/100mm単位までコントロール可能な技術を構築したのもこの時期です。
 さらにR.F.M.シリーズのモニタリングの結果、ロックユーザーの中には、もっと「ラフ」で、よりストレートな音飛びのするサウンドを好む傾向がありました。 シリーズの必要性を感じ「Birchシリーズ」を開発し、この2シリーズで概ねドラマーのニーズに応えられるのではないかという思いでいました。
 しかしこれらのドラムの完成の後も様々なドラマーから過去(60’s、70’s)のレコーディング時のドラムの音について言及されることが多いことに気づき、「理想の音とは単にイコライジングしコントロールされた音だけではない」という結論に達したのです。そして私達が次に開発を試みたのは、「頭の中で美化されたビンテージサウンドの再現」です。
 「ネオ ビンテージ」と冠したこのシリーズでは、文字通り「60年代にジャズ界を席巻したドラムサウンドの再現」と言う開発理念のもと「NV60-M1」を完成させました。そしてシリーズ第二弾の「60年代ロック界を風靡したドラムサウンドを再現」した「NV60-M2」の完成へと続きます。 コンセプトドラムとも言えるそのサウンドは、ビンテージドラムの「くせ」までも再現している為、非常に「好き嫌い」のはっきり出る個性的なシリーズとなっています。 その「くせ」を嫌うプレイヤー向けには、NV60-M1、NV60-M2それぞれのシェルのポテンシャルを最も高めたエッジシェイプを施した「EX」も設定しました。
 又、米国ロケット社との共同開発によるラウドシーンで求められる爆音を発するカーボンファイバーシェルや、ブロック工法による厚胴ドラム等の開発もしてまいりました。
 これらの開発過程の中で、カノウプスのドラム開発には3つの方向性があることを自ら見いだす結果となりました。

Club Kit

1...REGULAR Line
私達が提案する理想のドラムの音の具現化
(R.F.M Series、BIrch Series)

2...VINTAGE Line
頭の中で美化されたビンテージドラムサウンドの再現
(NEO-Vintage Series)

3...R&D Line
音のみに拘らずルックスや材質にドラムとしての可能性を追求し、近未来のドラムのあり方に対する探求
(カーボンファイバードラム、アクリルドラム、マルチカラーフィニッシュ...)

※R&Dとは Research and Development (研究開発)の略称です。

私達はこの大きな3つの開発理念のもとにドラム自体の可能性に更なる高見を求めて挑戦してゆきたいと思います。

シリーズ別サウンドガイド
  Rock Pops Jazz
R.F.M. Series 明るく、膨らみのあるサウンド
Birch Series ダークトーンで、ストレートな音飛び    
NV60-M1 60's Gサウンドをシミュレーション    
NV60-M2 60's Lサウンドをシミュレーション    

ドラマーの個性に特化したカスタマイズサウンドの提案

カノウプスとして3大理念のもとに開発する様々なシリーズの開発過程で、私達は、もう一歩踏み込んだドラムサウンドの提案をいたします。ドラマー1人1人にとっての理想のドラムサウンドとは究極のところ100人100様のドラムがなければならないのではないかということです。
 ドラムサウンドを決定づけていく要素にはシェルの材質、コンストラクション、フープやラグ等のハードウエア、ベアリングエッジ形状、フィニッシュ、ドラムヘッド、チューニング等、様々あります。それらの要素が組み合わさり無数のサウンドを作り出すことが可能なのです。代表的な例を当社のエンドーサーのサウンド作りをもとにお話しいたしましょう。

例 1

弊社のエンドーサーの一人である佐野氏は、弊社がRFMシリーズを開発した当初よりすべてのシリーズを使っていただいております。RFMシリーズのあとにBirch、Mahoganyとそのドラム遍歴を重ね、現在は、NV60-M1のベアリングエッジをカスタマイズしたNV60-M1EXを使用しています。EXは標準仕様でプレスフープを採用し、オープンでありながら芯のあるサウンドを実現、NV60-M1と同じシェルコンストラクションでありながら異なった、より彼のテイストに近いサウンドキャラクターを作り上げています。

例 2

プロドラマーにとって必要なドラムはいったい何種類なのでしょうか?究極のところドラムサウンドは2種類あれば良いと言い切る著名ドラマーがいます。それはライブ用のドラムとスタジオ用のドラムということです。そのレコーディングの数の多さからギネスブックにのっていると言われる彼のスタジオ経験から彼が選んだドラムサウンドは、Birchシリーズをヘッドやミュートでアレンジしたもの。
タムには最もドラマーのスティックに繊細に反応するレモコーテッドアンバサダーにオーリングミュート或はムーンジェルによるミュートを施し、バスドラは18"x20"の深胴の両面にレモのマッフルミュートヘッドを使用し、嫌な高倍音をすべてカットしバーチ特有のウォームでファットな中低域を強調したショートサスティーンのドラムサウンドを作り上げました。

例 3

弊社のエンドーサーの一人である佐野氏は、弊社がRFMシリーズを開発した当初よりすべてのシリーズを使っていただいております。RFMシリーズのあとにBirch、Mahoganyとそのドラム遍歴を重ね、現在は、NV60-M1のベアリングエッジをカスタマイズしたNV60-M1EXを使用しています。EXは標準仕様でプレスフープを採用し、オープンでありながら芯のあるサウンドを実現、NV60-M1と同じシェルコンストラクションでありながら異なった、より彼のテイストに近いサウンドキャラクターを作り上げています。

このようにして当社が提案するいくつかのドラムシリーズをもとにドラムサウンドを構成する様々な要素の組み合わせを施すことによりドラマー一人一人の個性あるサウンドキャラクターを無限に作り上げることが出来ます。
 弊社から発売されているシリーズのドラムをより自分のテイストに仕上げたい方は全国の当社サポートショップにご相談ください。